「悪の教典#9 第一印象」パート1とパート2の間奏音

ローランドのMC-8などが登場する前の、アナログシーケンサーを使った音の代表格といえば、個人的にはこの音。恐怖の頭脳改革/悪の教典#9 第一印象に使われている間奏音です。
思えば、レコードのA面・B面に収録できる長さの都合でパート1とパート2に分けられたのではないかと思われる部分の間奏ですが、70年代の少年には衝撃的な音でした。
Moogのモジュラーシンセサイザーをエミュレートしているソフトシンセで再現するのが、やっぱりファンにとっての醍醐味でありますね。
繰り返します。実機ではなくアプリのシンセサイザー(Arturia / Modular V )です。お値段は149€なので18,000円弱。本家Moogの復刻版System55が$35,000だから、約210分の1のお値段ということになりますね。

昔、Moogなんて夢のまた夢だった時代に、ローランドのSH-5シンセサイザーでこの音を作ったことがありました。理屈は簡単で、「ランダムノート」の信号をVCFに繋ぐだけで再現できるのですが、やっぱりモジュラーシンセで再現してみたいと思うのであります。

基本的にはVCO、VCF、VCAは1基でも十分なのですが、「音に厚みを出したい」とか「パッチングの見た目がカッコいいから」という理由で、VCO×3基、VCF×2基、VCA×2基を使っています。

1.オシレーターの設定


16フィートのノコギリ波からを使います。3つのオシレーターからミキサーでリンクして、まとめた信号をフィルターに接続します。ここで、実機ではできない接続を行い、一つのOUTPUTから2本のコードを出して2基のローパス・フィルターにそれぞれ接続します。
オシレーターの一番上のノブは3基とも同じ値でユニゾン的に設定しますが、ほんの少しずらすだけでデチューンの効果を出すこともできます。

2.フィルターの設定


ローパスフィルターの設定は、2基とも殆ど同じ設定ですが、フリケンシーやレゾナンスの値を少し変えると、音に深みを出すことができます。
フィルターの設定で大事なのは、キーボードのアサインは「No」、シーケンサーのアサインを「S1」にすることです。これで、フィルターにシーケンサーからの信号が与えられるようになります。

3.シーケンサーの設定


アナログシーケンサーは「S1」を指定することで1列目の8個のノブを使うことになります。
8個のノブの値は0からMAXの間で均等に8段階の値にします。この値は「音程」を制御するのではないので、なんとなくの値でOK。(図中②)

一つの信号の次に何番目の信号を出すかという「NEXT」の設定を「ran」にすることで、8個の信号をランダムに出すことができるようになります。
なお、一つの信号の繰り返し回数は「REPEAT」の設定で「1」にします。(図中④)

シーケンサーへの命令をどこから得るかという設定で、「キーボード・トリガー・オン」を選択します。これで、鍵盤を押した時に、その音程でシーケンスがスタートするようになります。(図中③)
最後に、発音テンポを設定します。(図中①)

4.出力と微調整

2基のフィルターから、それぞれ別のアンプに接続します。ここで左右のパンを変えて、音の奥行感を出します。
エンベロープジェネレーターは、アタック、ディケイ、リリースはゼロにして、サスティーンレベルだけを設定します。
最後に、コンソール右下のフィルター・カットオフのノブを回して音質を微調整します。

 

▼出来上がった音はこちら(Karn_Evil9_1_int.mp3)

EL&Pの曲でシーケンサーを使った曲といえば、もう一つ。「悪の教典#9 第三印象」のエンディングがあります。
こちらは、8個×3列のシーケンサーを使って24音のループを作っていますが、実はノブを回してメロディラインの音程を作るのは面倒そうでした。実機と違ってマウスで操作すると微調整が非常に難しそうです。あきらめて、SONARなどのDAWで楽譜打ち込み、音色だけソフトシンセを使うというのが簡単だと思いました。

【追記】
その後、よく見たら、一番上のコンソールをクリックして変更できるユニットに「サンプル&ホールド」パネルがあることが分かりました。でも、操作がしやすいようにキーボードから音を出す方が良さそうです。